第一章

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死体のお顔を拝見する。 うーん。整った顔立ちとは言いがたい。 第一の要因としては 右目が消失してしまっている為であろうか。 イケメンかブサイク以前の問題として、根本から整ってないのである。 右目には接射創が残っていた。 接射創というのは、銃口が皮膚に接している状態で撃たれた場合に残る痕のことだ。 目の周りは黒く焦げていてパンダのような見た目になっているが、 肝心の眼球がえぐられているため、グロ以外の何物でもない。 「チッ」 少年はなにを思ったのか舌打ちをする。 嫌悪に顔を歪めながらというよりは、 残念そうに。 そして重たい足取りのまま、部屋を出て行った。 ギシギシと音をたてながら閉じられたその扉が次に開かれるのはいつだろうか。 私達は知るよしもないし、特に知る必要もないだろう。 部屋の中には静寂が訪れる。 暖かい気温は、死体の腐敗を進めていくことだろう。 時間に置いてけぼりにされたその死体は、一人さびしくその静寂に飲み込まれた。
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