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数年ほど前の話だ。 慶国では、大々的に人事異動があったと言う。 その発端が、景王が自ら手を下された、和州の乱だったと言う。 前王達が残した官吏は、己の私腹を肥やす事に余念がなく、年若い上に、海客であった新王をないがしろにし、専横を欲しいままにしていたのだそうだ。 止水郷郷長の昇絋が、税を取りたて、和州州候の呀峰に流れていたのだ。 それを知った王が呀峰の罷免を望んだが、呀峰は尾の無い獣… 裏で結託している冢宰靖供の企みで、捕らえる事は叶わなかったのだという そんな折り、王が宮城を空けてしまった。 表向きは雁国への遊学だったのだが… 実は、己を見直す為に、野に下られていたのだった。 そうして、運命の悪戯か、止水郷郷長の汚いやり方に憤怒し起った義民に… 更には、和州候を許すまじと起った義民に手を貸す事になったという。 その乱の中にいた者は、この時の王の姿を見、安堵したと男は語る。
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