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宿屋に行くと、すでに酔客がいた。 混み合う店内を横切り、奥まで突き進む。 陽子がそっと様子を伺っただけでも、客の表情は明るい。 「いやぁ、家の隣りの息子がよ、結婚だと!あのちっこかった奴が嫁さん貰うってんだから、たまげたなぁ!」 「おめぇ、いつまで若いつもりでいんだよ、そりゃあガキだって大きくなるわな!なぁ?」 ドッと笑いが起こり、杯を打ち鳴らす音があちこちで響く。 「今の王様にゃ、頑張って貰わんとな!」 うん、うん、と肯定の声が後に続いている。 二階に上がると、喧騒が遠のいて、少し静かになった。 大丈夫?と祥瓊に聞かれて、陽子は考え事から現実に引き戻された。 「ん?あぁ…大丈夫だ」 そう?と少し心配顔の祥瓊に大きく頷いて安心させる。 と、そこで虎嘯が目当ての部屋を見つけた。 「お、ここだな?陽子、お前一人で行け、俺と祥瓊は廊下で待つ…」 「えっ!?私1人で行くのか!?」 虎嘯と祥瓊は、お互い含み笑いを堪えた感じだ 不思議に思いながらも、仕方なく、陽子は部屋の中に声を掛けて、入って行く。
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