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それから、楽俊は行きたい所があると言った。 「堯天を出なきゃならないんだが…大丈夫か?」 「景麒の使令に言伝を頼んでおけば、良いんじゃないかな?」 班渠と短く呼ぶと、陽子の足下から声がした。 「そう言う訳だから、景麒に伝えてもらえるか?」 是、と短く返事があって、気配が消えた。 「なんだか王様らしくなったなぁ?」 しみじみと言われ、何だか気恥ずかしい気がしてしまった。 「それじゃ、行こうか?」 その場所は、堯天から半日くらいの場所にあった。 街道から少し中に入ったところが小高い丘になっていて、獣道が付いている。 「この丘を上ると目的地だ」 何があるのかと、期待を込めて丘を上りきると、そこには一面の緑が広がっていた。 陽子は言葉もなく立ち尽くす。 「凄いだろ?」 「楽俊…」 自然と、涙が頬を伝っていた。 「お前は自分を卑下し過ぎだ。王がきちんと玉座にいる、それだけでお前は充分役目を果たしているんだぞ?」 楽俊には敵わない。
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