77人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道、楽俊には和州での事を言われてしまった。
「そういやぁ、祥瓊と陽子は和州の乱で知り合ったんだよな?」
祥瓊と陽子は同時に頷く。
「オイラ、ここに来る途中、若い男にその時の話を聞いたんだが、その乱の時、陽子はどこにいたんだっけ?」
ピクッと陽子の表情が引きつった。
「あの時は確か、雁国に遊学中だったはず…」
楽俊は背中を向けたままふぅんと疑ってる返事をした。
「そ、それがどうしたの?」
やはり楽俊は背を向けている。
「いやなぁ?台輔の背中に騎乗した女がいるってぇから、てっきりなぁ?」
陽子と祥瓊はうわずった声で返事をした…
虎嘯は面白そうに3人を観察している。
「恐れ多くも台輔に騎乗する奴なんてのは、延王か陽子くらいなんじゃねぇか?」
はぁ、と諦めた様に陽子が溜め息を付いた。
隠し通すつもりだったのにと悪態をつきながらも、事の顛末を話して聞かせた。
最初のコメントを投稿しよう!