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少し肌寒い日の朝、雁国から慶国へ一人の半獣が入国した。
雁国と慶国の景色の差は、縮まる事がないように見える。
しかし、畑に、野に、それまで手が付けられていなかった土地に、緑が芽吹いている。
確かに王は存在しているのだと、自然が雄弁に語っていた。
王がいなければ、いくら耕しても、手を掛けても実りは期待出来ない。
だが、手を掛けない雑草までもが、茂り始めている。
半獣の彼は髭をそよがせ、満足そうに頷いた。
「うん、大丈夫だ…」
もう一度、辺りを見回して、歩を進めた。
目指すは慶国が首都、堯天へ。
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