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「私も有り得ないとは思うけど……ねえ?」
「事実ですよ。この方はルーフル・ルーズリア。間違いなくルーズリアの姫様です」
アルネを見ると、しっかりした口調でそう言ってくれた。証明するものがないのは苦しいけど、信じない理由もないだろう。
「うーん……メイドさん連れてるし、本当に姫様なのかなぁ」
アルネが証拠として機能していた。
目を閉じて、小さく唸っていたレユリは一度頷く。
「うん、分かった。姫様だね」
信じてくれたみたいだ。適応力が高いようで、もう驚いてもいない。
「説明、しておけば良かった……」
「で、マスターは姫様に絡んでたの? 迷惑かけちゃ駄目だよ?」
レユリがフェリンを見た。母親が子を注意するような口調である。
「む……」
そして少しムッとしながら頷くフェリンは、本当に子供みたいに見える。
どう見てもフェリンの方が年上なのだが、精神年齢は違うらしい。
「あまり怒らないであげて。フェリンは私達の話を聞いてくれてたのよ」
「そうなの? あ、私が忙しかったからかな。久しぶりに働いたんだね」
過去形ということは今は違うのか。話すなら今しかない。フェリンの頭を撫でるレユリへ、私は本題を持ち出す。
「ねえ、料理大会まで私に、料理を教えてくれないかしら?」
「え? 私でいいなら別にいいよ」
あっさり頷いた。もう一度確認したいと思ってしまうくらいに。
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