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みんなからそれなりに人気は得ているようだ。
フェリンも何かしら努力している……のかもしれない。レユリだけでは、とても喫茶店なんてやってられないだろうし。
「さてルーフ――姫様、何を習いたいの? 料理と言っても色々あるけど」
レユリが首を傾げる。人当たりの良い笑顔を浮かべており、さっきのような警戒した様子はない。
「そうねえ……とりあえず名前はルーフルでいいわよ」
「いいの? ならそう呼ぼっかな」
レユリは嬉しそうに笑う。
銀のトレイをテーブルの上に置くと、彼女はメニューを開いた。
「ルーフル。料理大会は一品だけ作って競うから――何か一つにジャンルを絞った方がいいと思うの」
そしてそれぞれの料理を指差していく。
何か一つのジャンル、というのは私も考えていたところだ。七日間では限度があるし。
「焼き物、煮物、デザートとか……何でもいいから一つがいいかな」
「ならデザートがいいわ」
私は即答した。甘いものは好きだし、迷う必要もないだろう。
「うん。じゃあ、これから七日間デザートを頑張ろ」
レユリは頷いてメニューを畳んだ。それから何やら難しい顔をし、
「……お客様やマスターにも手伝ってもらおうかな」
よく分からないことを呟いていた。
こうして、私の修行が始まった。
料理に挑む私の心残りは、ロウリアの家に置いてある報酬。
料理長へ贈られた、魔法のレシピだった。
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