四章:これまでこれから

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           『落ちこぼれ』。    私、クランメ・クランハイスは長らくそう呼ばれてきた。    クランハイス家はルーズリアに代々伝わる、有名な貴族である。    体内に宿る魔力が生まれつき濃く、魔力を操る才能も一流か二流。    クランハイスの家系に生まれた人間の殆どが、歴史に名を残す偉人であったという。    クランハイス家の人間は、まさに魔法使いになるべくして生まれる。    ただ一名、私だけを除いて。            ――三年前。私は今でも鮮明に覚えている。    落ちこぼれと言われた私に、才能を見出だしてくれた少女。    彼女の屈託のない笑顔を。  
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