第一章

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「あんた、誰?」 開いた視界に映る澄んだ青空を背景に桃色の髪をした少女がこちらに話しかけてきた。年は遥と同じくらいだろうか。黒いマントを羽織って白いブラウスにグレーのプリーツスカートを着ている。 顔を見る限り日本人ではなさそうだ。自分よりも白い肌に鳶色の瞳をしている。 まるで宙に投げ出されていた様な感覚から自分が横になっている体勢なのに気付き、桐生一馬は体を起こす。すると少女と同じ姿をした子供が珍しそうにこちらを見ているのに気付く。更に自分が横になっていたのが大草原だった事に気付いた。どうやら自分の知っている神室町、ましては日本ではない様だ。 「おいおい、ルイズ…なんで平民なんか呼び出してんだよ?」 誰かの声を皮切りに小馬鹿にする様な笑い声が響いた。 「ちょっと間違えただけよ!」 「流石だなぁ、ゼロのルイズは!」 「いつもながら笑わせてくれるなぁ!」 ルイズと呼ばれた少女の怒鳴り声も虚しく周りは更に爆笑する。 状況の読めない桐生はひとまずことの成り行きを見守りながら少女達の格好を観察してみる。誰も彼もが杖を持ち、以前エリに無理矢理見せられた魔法使いの漫画に似た格好だと思った。 少女の声に人垣を割って出てきた中年の姿は更に本格的に見えた。
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