1章・1

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俺とあいつの出会いは土砂降りの雨の日だった。 「航太?外雨だから早めに出なさい!」 「わかってるよ。もう行くから。いってきま~す」 「いってらっしゃい」 玄関を出て傘をさす。 朝から雨なんて最悪だ。 雨は嫌い。制服のズボンの裾が濡れてついでに靴下もクツもびしょびしょになって気持ち悪い。 自転車も使えないから早く出なきゃならない。 あぁ~めんどくさっ。 タラタラとヤル気なく歩く俺は、沢村航太、13歳、中2。 遅刻常習犯の俺は急ぐ気もない。 学校が近くなってくると遅刻をしないよう走っている生徒が多かった。 走ると靴が余計濡れるし。 6月も半ばを過ぎ梅雨の時期になっていた。
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