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「昨日、彼氏と別れたの。私といるの、疲れるって言ってた」
「どんな男なんですか?」
「年上で、いいとこの営業マン」
「……性格は?」
「性格は今思うと微妙だったかも。いやだっていうことでもされたし。たくさん、我慢もした」
「どうして付き合ったんですか?」
「はやく結婚したいから」
上原くんはビールをすでに飲みきっていた。
手を挙げて注文するときに、吉野美香がみえた。
まわりに南くん、葵くん。
そして、牧原さんにちょっと離れて堺くん。
同期皆が集まって楽しそうにしてる。
イラッ
なんで、私は上原くんとしか話していないんだろう。
なんで、目の前の席があいているのに誰もこないんだろう。
「綾瀬さん?気分が悪いんですか?」
「……平気よ」
「そうですか…綾瀬さんはなんではやく結婚したいんですか?」
私だけを愛してくれるひとがほしいから。
「はやく、幸せになりたいのよ」
「結婚と幸せってイコールなんですかね」
その後、私の席のスペースには誰もこなかった。
話すことがなくなり、私はずっと元彼のことを上原くんに愚痴っていた。
そして途中で記憶を失った。
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