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「綾瀬さーん!申請書を作成しましたので、よろしくお願いしまーす!」
坂上さんがニコニコ笑いながらやってきた。
もう彼女の申請書のチェックはしていない。
今ではノーミスで、とても作業がしやすい。
「最近、どうなんですか?葵さんと」
……そう。先月、葵くんのバイクで帰ったのがフロアの誰かにみられたらしく、変な噂を流されてしまった。
人の噂は75日というし、我慢している。
……ただ、葵くんには悪いことをしてしまった。
吉野美香に勘違いさせてしまうからだ。
どこかで誤解を解かなければ、と思うのだけど、嫌いなので話し掛けることもできない。
葵くんは、私とのご飯が効いたのか、元気になった。誤解を解こうとする素振りもない。
あー、よくわからない。
「葵くんとはなんでもないわ。バイクに乗せてもらっただけよ」
「だから、それは特別扱いなんですって!……綾瀬さんって、鈍感ですね」
何故か後輩にため息を吐かれる私。
「すごい合コンセッティングしようと思ってたのにー葵さんのこと知ったら誘えなくなっちゃいました」
「すごいって?」
上原くんがいるから行かないけど。坂上さんの言い方が気になった。
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