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「驚かないで下さいよ~」
坂上さんはもったいぶりながらも、はやく言いたくて仕方ないようだった。
正直びっくりした。
OSシェアナンバーワン企業の社員だったからだ。
「どこで出会ったの?」
「うちの会社ですよ。よくアプリの挙動がおかしい時に調査でくるじゃないですか。そこでちょっと」
そのしたたかさには正直開いた口が閉じない。
上原くんと出会う前の私より貪欲だ。
「でも残念ですー本当。綾瀬さんがくるなら、面子揃えてくれるみたいだったんですけど」
彼女は人差し指を顎にあてて、ちろっと私をみた。
「私?なんで?」
私は他社との打ち合せにはまだ参加したことがなかった。接点がないのに、そう言われても困る。
「うーん、なんででしょうね」
ちろちろと、私をみる彼女。
「坂上さん……悪いけど、私は行かないわよ」
私が断言すると、彼女は肩を落とした。
「えーー、やっぱダメですか?」
私は、ペットだもの。
飼い主以外の人に媚は売らないの。
なんて、心の中で思ってしまう。
「そんなに葵さんがいいんですかー」
誤解を解くと、合コンに連れていかれそうで。肯定も否定もしなかった。
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