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10月第3週の日曜。
家にいると電話がかかってきた。
上原くんだ。
すぐとるのが恥ずかしくて、ツーコールした後、電話をとる。
「ショーコ?今、会える?」
なんだか心が弾んでいる声。私は、素直に「うん」と答えた。
……珍しいな、日曜の夕方に会うなんて。
私は部屋着ですっぴん。
急いで化粧をしようとした矢先。
――ピンポーン
え?はやくない?
急いでドアを開けると、満面の笑みの彼。
私をいきなり抱き締める。
「ど、どうしたの?」
こんなに無邪気な彼を最近みていなかったので、驚く。
「俺、応用情報受かったかも」
ギューッと力が入る。
あ、そうか。今日は情報処理試験だ。
私は会社からとるように言われてる資格は全てとっており、あまり気にしていなかった。
「え?でも、春に基本情報とったのよね?」
「うん、まあ、次も頑張ってとっちゃおうかなって」
彼の笑顔は私も嬉しくなる。
合格発表は二ヵ月先なのに、すごい浮かれようだ。
「ショーコ、朝遅いのは勉強してたからだよ。黙っててごめんね」
いつぞやか不安にさせた秘密について謝られた。
「そんな……言ってくれればいいのに」
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