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「ショーコにそんなこと言ったら、密会がなくなるでしょ?」
口を尖らせながら言う彼。
そうだけど……。
勉強の方が大切なのに。
「……はやく俺、ショーコに追い付きたいから。無理といわれても、やるから」
熱っぽい視線。
私はそれにとろけてしまう。
「うん……はやく追い付いてよ……」
口から本心が零れる。
…
…
「え?ショーコ、今なんて言った?」
信じられないものを見るように、私を見る。
「私だって負けないくらい頑張るけど」
仕事なんて、結婚までの腰掛けだと思っていたけれど。
上原くんが私を目標にするなら、私は目標に値する人間になりたい。
「ショーコ……」
彼はにこっと笑うと、今日一番の無邪気な顔でキスをした。
その顔が、一瞬、ヨヨの顔にダブった。
ああ、まだ私ヨヨを忘れられない。
キスをしながら、上原くんに謝った。
――――
「ショーコ、丸くなってきたね」
キッチンでご飯を作っていると後ろからひどい言葉。
「確かに太ったけど、そんな口に出さなくてもいいじゃない」
私が頬を膨らますと、彼は手を横にふる。
「違うよ、俺に対しての態度。さっき、以前に同じことを言った時と全然違う反応だった」
彼のうっとりと言う姿に、私は少し恥ずかしくなった。
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