連鎖

7/27
前へ
/357ページ
次へ
「ねぇ、ショーコ。来週温泉行こうよ」 ニマニマと笑う彼に、私は呆れた。 「急すぎるわよ。第一予約とかもあるでしょ?」 私は物事は計画的に進めないと嫌なのだ。 「もう、予約はとってあるよ」 「……えっ」 私のパソコンのスイッチを押す。 ブラウザを立ち上げて、手慣れた感じで旅館のホームページを開いた。 「試験のご褒美に、いいでしょ?」 にやりと笑う顔。 遊園地の時といい、海の時といい、彼は用意周到だ。 「私が行かないって言ったらどうするつもりだったの?」 少し格式だった旅館で、安くないのはわかる。 土日なら予約をとるにはだいぶ前じゃないと無理な気がした。 「ショーコは来てくれると思ったから」 にっこり笑う彼。 ……確かに行くけれど。 ふうっと息を吐くが、少し心は浮かれていた。 「ここ、堺さんに教えてもらったんだ」 ……また、堺くんの名前。 「なんで急に仲良くなってるの?」 私はこの前聞きそびれたので、次こそは、と意気込む。 「資格や勉強方法を聞きに行ったら、ウマがあっちゃって。今日も一緒に受けに行ったよ。堺さんは高度情報のなんかを受けてたけど」 .
/357ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5241人が本棚に入れています
本棚に追加