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一週間、とても長かった。まだ火曜日、まだ水曜日。そんな感じで過ぎていく。
ある日、坂上さんとランチをしていた時だ。
「綾瀬さんってかわいいですね」
私はメニューから目を離して、えっ?と聞き直した。
「何か楽しみにしてることがあるの、バレバレです」
ふふっと彼女に笑われた。
「今週、温泉行くの」
私はにやつく顔を抑えながら言う。
「葵さんと?」
するどいツッコミ。
「違うわ」
余計な情報は与えないでおく。
「えー、でも葵さんも今週に行くらしいですよ」
まさか。
嫌な予感がする。
でも、温泉なんていくらでもあるし。
「吉野さんとか行くみたいですよ」
吉野美香、行くんだ。
私は葵くんのことを思うと、少しだけ嬉しくなった。
「後、誰がいくの?橘くんとか?」
ドキドキしながら聞くと、彼女は首をふった。
「3年目同期だけみたいですよ」
その言葉に内心でガッツポーズをした。
――――
ランチから戻り、私は葵くんをみつけると駆け寄る。
「葵くん、温泉のお土産楽しみにしてるね♪」
「え、なんで知ってるの?」
葵くんは目をパチクリしていた。
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