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着いた場所は山梨県。
まずは腹ごしらえ、とほうとうを食べる。
「かぼちゃ、おいしい」
「ショーコって秋の食物すきだよねー茄子とかぶどうとか」
上原くんはにやっと笑った。
「次はワイン工場行こう。たくさん試飲しよ」
にっこり笑われると、断れない。
私、ビール以外はすぐに酔っちゃうのに……。
「ちょっとだけだから」
心の中の呟きが相手に伝わる。最近の私達はそんな感じだった。
口にしなくても伝わる。
私はストールに汁が飛ばないように、ほうとうに集中した。
――――
ワイン工場で飲むワインはとてもおいしかった。
元彼に無理矢理飲まされたときは苦いだけだったのに。
女性向けと勧められた白ワインは飲みやすく一本買ってしまった。
「今度、チーズを買って飲もうよ」
上原くんは自分が買ったワインを手に笑った。
「さ、ワインも買ったし、次はグラスかな」
彼に連れられて行くと、ガラス工房があった。
「一緒につくろ?」
体験コースを指差した。上原くんは私に告げないだけで、頭の中でしっかり旅行の工程ができていたみたいだ。
現に今の時刻はコースが始まる時間ぴったりだった。
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