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「違う……その、なんで彼氏なんて言ったの?」
手を握り締めながら、エレベーターの到着を待つ。
上原くんは頬をポリッとかいた。
「もう耐えられなかった」
「え?」
「葵さんとショーコが噂されてるの」
チンッとエレベーターがついた。
中に入り、八階のボタンを押す。
扉が閉じると、上原くんはチュッとキスしてきた。
「いやだった?」
「あ、いや、ううん」
とても嬉しかった。私のこと、どう思っているかがわかったから。
「俺、すっげー嫉妬深いから。格好悪いけど、これが俺だから」
あ。
私も。
二人して、嫉妬深いなんて。
ふっと笑ってしまった。
「ショーコ、なんで笑ってるの?」
口を尖らせながら言う彼の頬にキスをした。
「私、上原くんよりもっとすごいんだから」
にやっと笑うと、彼は目をぱちくりとさせた。
「私をすきなら、私だけをみて。そして他の男に触れさせないで」
私がエレベーターからでると、上原くんに後ろから慌ててついてきた。
「ごめん、ここに来たのも……」
「もう、計画的なんだから」
私はわざと溜息を吐いた。
本当は少し、嬉しかった。
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