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翌日。
私はいつものように、朝の誰もいない時間に煙草を吸う。
喫煙所から見えるのは、いつも面々。
その中で、同期で一番できる男の姿をぼーっとみる。
堺くん、よく体を壊さないなあ。
朝はやくから夜遅くまで仕事をして。
私は無理だ。
尊敬するけど、なりたいと思わない。
私は定時に帰れるだけの知識と実力があればいい。
それ以上あると、堺くんみたいに多くを望まれるから。
カチャ
「おは、ショーちゃん」
「おはよう」
葵くんがきた。
私が立ち去ろうとすると、ジャケットを引っ張られる。
「火、貸して♪」
「また?」
「うん、お願い♪」
ライターを貸す。
仕方なく待っていると葵くんが顔を近付けてきた。
「ね、堺をみてたの?」
「う、うん」
「あーいうのがタイプ?」
堺くんは、一言で言うと美形だ。
クールで人を寄せ付けないところが、彼の容姿に合っている。
声も心地よいバリトンで、長身。
年上だったら、きっとすきになったと思う。
仕事もできるし。
「そうね。かっこいいもの」
「やっぱ堺派?眼鏡男子とかはどうよ」
ドキッ
私は首を横に振った。
何故なら、ぱっと頭に浮かんだのが上原くんだったからだ。
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