5241人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、しまった」
情事を終え、彼は呟いた。
「脱がすって言ってたじゃん、俺……」
とはいえ、私の姿は乱れていて。
帯がなんとか腰にまとわりついているだけだった。
「チラリズムに負けた」
悔しがる彼に私はキスをした。
「またすればいいじゃない」
……言って気付いた。
私ってどんだけすきなんだ、と。
案の定、上原くんはニヤニヤしていた。
「そうだね。まだ夜も長いし、朝もあるし」
「え!?」
「ショーコからお誘い頂いたわけだし?頑張っちゃおっかなー、俺」
いや、頑張らなくていいって。
私は急いで身だしなみを整えた。
「さ、貸切風呂いこっか」
「え?いつのまに……」
「ははっ。俺は結構計画的なんだよ」
――――
貸切温泉に行くまでの道程の中、ホテル内の居酒屋で葵くんと牧原さんが飲んでいた。
なんでだろう。せっかく吉野美香と仲良くなるチャンスなのに。
.
最初のコメントを投稿しよう!