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「眼鏡なんて最悪よ!」
思わず声を張り上げてしまう。
上原くんが脅迫してきた時のことを思い出したからだ。
「ショーちゃん、ひどい……俺、眼鏡……」
あ、そうだった。
眼鏡は顔の一部です~♪の音楽が頭の中に流れる。
「ごめんね……あの、葵くんはとっても眼鏡が似合ってて、その、眼鏡にみえなかったというか……そう!違和感がないのよ、眼鏡をつけてても!」
必死に説明する。
と、同時にわかったことがある。
上原くんの眼鏡姿、違和感がある。
あの晩だけ彼は眼鏡をつけていなかった。
あんなに格好良いのに、なんでダサい眼鏡をつけているんだろう。
しかも、あれだけ気持ち良くするテクニックがあるとなると……絶対女性経験は豊富だ。
あのダサい眼鏡はカモフラージュなのかしら?
…
…
「……ショーちゃん!そんな落ち込まなくてもいいよ。俺、すごく眼鏡が似合っているってことだよね?」
ハッと現実に戻る。
葵くんはいつのまにか話を飛躍させていた。
「そうね、すごく似合ってる」
上原くんの眼鏡より断然。
「よし、今日は仕事頑張れそう♪」
葵くんが笑った。
「そう」
私は喫煙所を去った。
……いつもより長居してしまった。
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