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上原くんは10分前出勤だ。
「おはようございます、綾瀬さん」
彼は私にだけ、名指しで挨拶してくる。
仕方がないので、「おはよう」と言う。
「今日はこれをお願い」
日比谷さんに言われた通り、普通にやれば定時に上がれる仕事をお願いした。
「え、今日はこれだけですか?」
上原くんは少し不服そうだった。
「確認は一旦、15時にしましょうか」
定時内で仕事を終わらせるスケジューリング。
昨日までとは違う。
チーフが嬉しそうにしてるのが横目でわかる。
「……わかりました」
上原くんは頷いて席に戻った。
これでいいんだ。
日比谷さんがポンと肩を叩いた。
「綾瀬、グッジョブ」
私は嬉しくなって、親指をたてて応える。
上原くんがそれを見ているなんて思ってもいなかった。
…
…
15時。
上原くんの作成した研修用のプログラムをみる。
100点満点だ。
所々、余裕があるようでコメントまで丁寧に書いてある。
「もしかして、プログラム経験者?」
「はい。大学でC言語の授業受けていたんで」
そんなこと、自己紹介の時に言ってなかったじゃない!
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