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私は苛立ったが、我慢した。
「そうなの、明日からの仕事内容考え直しておく」
本当なら、この場で指摘した内容を16時半に再度確認して本日の業務終了の流れだった。
どうしようか。
まだ、1時間半ある。
仕方ないので、明日やるはずの研修用の課題を渡す。
「これ、明日の分だから。17時までに終わらなくても帰っていいわ」
「……はい」
上原くんは課題を受け取りながら、口を開いた。
「綾瀬さん、これが昨日言っていたやりがいのある仕事ですか?」
……違う。
私はもっと実戦的な仕事をさせたかった。
研修用のプログラムは確かに大切だけど、新人研修の応用。
しっかり新人研修を受けてくれば物足りないのは私も2年前に経験している。
ましてや、プログラム経験者。退屈だっただろう。
……でも仕方ないじゃない。
他の新人と同じことさせないと、また何か言われてしまう。
「……そ、そうよ。さ、席に戻りましょ」
「……わかりました」
上原くんはまだ何か言いたそうだったけれど、私は一目散に席に戻った。
本当なら上原くんにやってもらうはずの仕事をはじめる。
……仕方ないのよ。
私は自分に言い聞かせた。
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