二重生活

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「ねえ、ショーコはビールしか飲めないんだよね?」 カゴの中にはビールが数本。 仲良くお酒を飲む気はなかったけれど、“ビールしか”と言われそっちにカチンときてしまった。 「そんなことない!なんでも飲める!」 飲めるけど、酔いは早いし。二日酔いになる。 「へえ?じゃあ、付き合ってもらおうかな」 少し大きめの梅酒のビンがカゴの中に入る。 それにオレンジジュース。 彼は適当におつまみをいれて、会計をした。 … … 上原くんの家はシンプルだった。 狭いけれど、物が少ないため圧迫感はない。 本棚にはコンピュータ関連の本が多い。 「あ、これ……」 私が薦めた本だ。 「ショーコ、最初はビールでいい?」 「あ、うん」 手には350のビール。 「お疲れ」 ペコン、とぶつかる。 「テレビでもみてて」 彼はビールを持って、台所に行く。 ……あれ、私って脅迫されているんだよね? 余計なことを言って不興を買うのはいやなので、とりあえず黙っておくけれど。 何、この友達の家に遊びに行ったみたいなシチュエーション。 あの男は私を犯したのに、そんな振る舞いするなんてどうかしている。 .
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