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「何、ぼーっとしてるの?」
見上げると、私を脅迫する男。
手にはチャーハン。
「それ作ってたの?」
「そ。なんだ、おつまみ食べてないじゃん」
「あ……ごめんなさい」
つい謝ってしまった。
彼はぷっと笑う。
「そんなことでいじめないよ、俺」
頭を撫でられる。
心地よい。
「ショーコって猫みたい」
「……」
「かわいいね」
言われ慣れない言葉に顔が熱くなる。
「顔を真っ赤にして。そーいうとこもかわいい」
耳も熱くなる。
「そ、そんなこと、元彼にも言われたことない……」
「そうなんだ?」
上原くんの微笑に、喉がカラカラになる。
私は一気に缶を空けた。
…
…
彼の作ったチャーハンはおいしかった。
会話はテレビを見ながら、二人でツッコんで。
流されるまま、私は会話を楽しんだ。
「梅酒、飲める?」
“飲める”と言って、ロックで飲む。
……ああ、味はすごくすき。
なんで、私はビール以外だと酔うんだろう。
「おいしい」
「普通の梅酒なのに。変なの」
上原くんはクスッと笑った。
「私、本当はビールより梅酒やカクテルみたいな甘いお酒がすきなの」
酔いも手伝って、自然と口が開く。
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