二重生活

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カシスを、とくっとくっとグラスに注いでいく。 そしてさっき買ったオレンジジュース。 二層に色が分かれていて、とても綺麗だ。 カランカラン 一気にマドラーで、混ざり合う。 ……綺麗だったのに。 「混ぜなきゃおいしくないだろ?」 私はよほど不服そうな顔をしていたらしく、笑われた。 グラスを受け取ろうと手をのばす。 上原くんはニヤッとして、グラスを上にあげた。 「……それ、私のじゃないの?」 「ショーコのだよ」 彼はいきなりシャツを脱ぎだした。 「え、ちょ、ちょっと……」 慌てて目を背ける。 ドサッ ベッドに腰を下ろした音。 「ショーコ、おいで」 みると、上半身裸で手招きしている彼。 ゾワッ 何かを期待して、体が反応する。 「なに?」 彼は自分の体にカシスオレンジを零した。 「ショーコ、舐めて」 ゾクッとした。 私はまるで暗示がかかったように彼の体に舌を這わす。 ……甘い。 ぴちゃぴちゃ 私は夢中になって舐めた。 「ふふ、そこは違うんじゃない?」 いつのまにか、私はキスをねだっていた。 「しょうがないな、この猫は」 彼はグラスに口をつけ、そして私に深いキスをした。 .
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