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「こら、暴れない」
ペシッ
体を捩ると、彼は軽くお尻を叩いた。
痛くない。けれど、躾けられているみたいだ。
「ほら、流すよ」
体中の泡が一気に排水溝に流れていく。
髪も同様に、丁寧に洗われていく。
「上向いて」
泡が耳に入らないように、手で守りながら洗い流す。
「次、ショーコの番」
「えっ」
怖ず怖ずとスポンジにボディソープを染み込ませて洗う。
「あれ?スポンジなんだ。ショーコの体で洗ってくれないの?」
「だ、誰がそんなこと……!」
「残念。追々教えないとね」
にーっと笑う彼。
嫌悪感がわかないのはなんでだろう。
私は体を洗い流し、髪を洗っていく。
長めの前髪を後ろに持っていき、わしゃわしゃと洗う。
……綺麗な顔。
眉は手入れがしてある。
なんで会社では地味にしているだろう。
素顔なら橘くんにも負けないくらい、格好良いのに。
シャーと、洗い流す。
「ありがと」
ドキン
素顔の彼は、私の心を簡単に奪う。
何考えてるの。コイツは私を脅迫してるのよ?
私はパシッと自分の頬を叩いた。
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