女王様

3/28
5226人が本棚に入れています
本棚に追加
/357ページ
「こら、暴れない」 ペシッ 体を捩ると、彼は軽くお尻を叩いた。 痛くない。けれど、躾けられているみたいだ。 「ほら、流すよ」 体中の泡が一気に排水溝に流れていく。 髪も同様に、丁寧に洗われていく。 「上向いて」 泡が耳に入らないように、手で守りながら洗い流す。 「次、ショーコの番」 「えっ」 怖ず怖ずとスポンジにボディソープを染み込ませて洗う。 「あれ?スポンジなんだ。ショーコの体で洗ってくれないの?」 「だ、誰がそんなこと……!」 「残念。追々教えないとね」 にーっと笑う彼。 嫌悪感がわかないのはなんでだろう。 私は体を洗い流し、髪を洗っていく。 長めの前髪を後ろに持っていき、わしゃわしゃと洗う。 ……綺麗な顔。 眉は手入れがしてある。 なんで会社では地味にしているだろう。 素顔なら橘くんにも負けないくらい、格好良いのに。 シャーと、洗い流す。 「ありがと」 ドキン 素顔の彼は、私の心を簡単に奪う。 何考えてるの。コイツは私を脅迫してるのよ? 私はパシッと自分の頬を叩いた。 .
/357ページ

最初のコメントを投稿しよう!