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朝、9時。
いつもよりザワザワしているのは、きっと新人がいるからだ。
「綾瀬さん、今日からあなたが面倒みる子、男の子だからね。くれぐれもいじめないでくれよ」
上司は私をなんだと思ってるんだ。
イライラしていると、葵くんがチョンと背中を叩いてきた。
「一緒にいこー、ミーティング」
「そうね」
広い会議室に、室のメンバがどんどん入っていく。
私達は早めに来たから後ろの席だった。
「ありゃ、吉野ちゃん、一番前だ」
葵くんがぷっと笑う。
髪はボサボサ、遅刻を笑ってごまかす仕草。
なんで、あの子が人気なのかわからない。
イラッ
吉野美香をみつめていると、いつのまにか新人が挨拶をはじめていた。
「橘雅文です。販売支援チームに配属になりました。よろしくお願いします」
あら、イケメン。
しかも爽やかで目の保養になる笑顔。
私はアイドルを見るような感覚で彼にしばらく目を奪われた。
「上原湊太です。第一基盤チームに配属になりました。よろしくお願いします。」
次に自己紹介をしたのは長めの前髪にダサい眼鏡をした男だった。
第一基盤チームは私のチームだ。
あの冴えない眼鏡男を私が面倒を見るのか。「あの子、ショーちゃんが面倒みる子だよ」
ニコニコと葵くんが言う。
敢えて言わなくていいって。
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