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彼女とは反対方向で。
向かいのホームで、手を振る彼女を見送った。
やっぱり奈緒と話すのは気が楽だ。
彼女も同じビルで働いていれば、もっと楽しいのに。
同じビルの同期と仲良くない私はいつもそう思う。
牧原さんは明るくて話しやすいが、如何せん吉野美香と仲が良い。
無理、無理。
首を振る。
あいつとは絶対話したくない。
ちらほら他にも同期はいるが、研修時代からグループ化しているから無理。
だから私は一人でお昼ご飯を食べる。
気を遣うなら、一人の方がマシ。
―プワァーン
電車がきた。
乗ると、見慣れた男達。
「ショーちゃん♪」
葵くん。
「おう、綾瀬」
同期の南くん。
「綾瀬さん、どこかで飲んでたんですか?」
……上原くん。
葵くんと南くんが仲いいのは知っている。
というか、葵くんは誰とでも仲がいい。
……吉野美香とも、私とも。
それはおいて、上原くんが私の同期二人にプラスされているのは、何故だろう。
「3人でサッカー観戦しながら飲んでたんだよ」
葵くんはにっこり笑って手招きした。
「綾瀬、上原マジいいな。俺のチームにいる奴とトレードしようぜ」
南くんが上原くんの肩を抱く。
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