~序章~ 

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そしてその山はここから遠い。 この田舎町は田舎の割には結構広くて、ここからだと1時間ぐらいは掛かる。 そんなところに行くなんて。 しかも夜に。 街灯だって少ないし、都会みたいに整備が施された道もないのに。 「明日じゃダメな「ダメよ。」 明日じゃダメなのか。と提案しようとすればお母さんによってバッサリ切られた。 「………………分かったよ。」 苦虫を噛み潰したような表情で呟けばフフンと鼻を鳴らすお母さん。 「でも奏?礼儀正しくしなきゃダメよ?」 「………………………。」 「この村唯一の神社なんだから。 ここに住む人は皆、紫鬼山の神社に参拝するのよ? 礼儀もわきまえないで、いつもみたいに適当な配達じゃ祟られるからね。」 たたられる、って。 娘にそんなこと言わないでよね。 はいはい、と適当に返事をしたものの一瞬身震いがした。 .
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