<1話>青春の1ページ

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 春が訪れ、桜が見頃になってきた。  中学を卒業し、もうすぐ入学式を控えていた俺は、中学校の友人と一緒に花見に行く予定を立てていた。  近所にもうすぐ見頃を迎えるであろう桜並木がある。  川に沿うようにして立ち並ぶ桜は約一キロに及ぶ。見頃を迎えると、車が一台通るので精一杯の道に屋台が少ないながらも並び、花見に来た人たちで賑わっていた。  今年も例外ではなく、すでにいくつかの屋台が店を構えている。  夕方、待ち合わせの場所で友人の中本と柿崎を待っていた。  約束の時間よりいくぶんか早い。  そばに立っている木に寄りかかり、桜並木の方へ耳を傾ける。  遠くからは宴会ではしゃぐ大人の笑い声や、楽しそうに笑う小さな子供の声が響いていた。  しばらく耳を傾けていると、近寄ってくる足音がする。
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