<1話>青春の1ページ

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 俺が訝しげに聞くと柿崎は、 「かわいい子いないかなあってな。ほらおまえたちも捜せよ」 「柿崎の悪い癖がまた始まったよ。弥、おまえもいってやれよ。そんなんだから彼女ができないんだ、ってな」  中本が耳元でそう囁いてきた。たしかにそうだ。  柿崎はいつもあういうことをしているせいで、クラスの女子からの評判も悪かった。根は悪いやつではないんだけどな。  ……思う。  今のように遊んでいられる時間は後どれだけあるのだろうか。  高校に入ると友達とは全員離れ離れになる。  二度と会えないわけじゃないが、それでもやはり別の道に進めば、それだけ会う時間も少なくなり、疎遠になっていく。  小学校の時に仲が良かった奴とも、別々の中学校に行ってから全く連絡を取り合っていなかった。
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