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「よ~いしょっ」
蝶名林は、優那を窓際のベッドに寝かせると、白いカバーの布団をかけた。
この学園には各校舎に保健室はなく、敷地内に小さな病院のような施設があり、そこが保健室の役割を果たしている。
俺と蝶名林は高等部校舎から、ここまで優那を運んで来た訳だが。
「ハァ」
「速水君、なーにーそのため息?」
「いえ」
数年前までは、ここは優しいおばちゃん保険医のいる癒しスポットだったらしい。
それが、どーして!こんなデンジャラスな場所に!?
「ねー速水君。何で、そんな隅っこにいるの?」
「狭い場所好きなんす!」
俺が薬品棚と壁の間に挟まってるのは、ケツを守るためではない。
「あ、そー。じゃ、どーしてドアノブ掴んでんの?」
「常に新鮮な空気を、体内に取り込んでいたいからです!」
俺がドアノブを持って、ほんの少し開けたままにしてるのは、すぐに逃げられるようにしてる訳ではない。
とにかく、勘違いしないように。
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