第2話【ホモと脇役 ー保健室の攻防ー】

2/18
4478人が本棚に入れています
本棚に追加
/826ページ
「よ~いしょっ」 蝶名林は、優那を窓際のベッドに寝かせると、白いカバーの布団をかけた。 この学園には各校舎に保健室はなく、敷地内に小さな病院のような施設があり、そこが保健室の役割を果たしている。 俺と蝶名林は高等部校舎から、ここまで優那を運んで来た訳だが。 「ハァ」 「速水君、なーにーそのため息?」 「いえ」 数年前までは、ここは優しいおばちゃん保険医のいる癒しスポットだったらしい。 それが、どーして!こんなデンジャラスな場所に!? 「ねー速水君。何で、そんな隅っこにいるの?」 「狭い場所好きなんす!」 俺が薬品棚と壁の間に挟まってるのは、ケツを守るためではない。 「あ、そー。じゃ、どーしてドアノブ掴んでんの?」 「常に新鮮な空気を、体内に取り込んでいたいからです!」 俺がドアノブを持って、ほんの少し開けたままにしてるのは、すぐに逃げられるようにしてる訳ではない。 とにかく、勘違いしないように。
/826ページ

最初のコメントを投稿しよう!