第1章

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前に映画を見ていた時にふと思った事がある。 人は自分では手に負えない事態や、常識を遥かに超える事態に直面した時どういった反応をするのかと。 今の自分がまさにそういった事態に陥ってしまっているのだが、想像以上だな。 不安が心臓の鼓動を早め、尽きる事のない疑問が脳を圧迫している。 頭の奥が熱くなり、じっとりと嫌な汗が頬を伝う。 考えているようで実は全く頭が働いていない。 これでは埒が明かない。 俺は再び仰向けに体を倒し、深く、大きく深呼吸をする。 筋肉もかけらもない胸板がゆっくりと上下する。 肺に新鮮でちょっぴり青臭い空気が充満し、気分が多少晴れ、落ち着きを取り戻していく。
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