第1章

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ん? 微かに鼻をくすぐる青い匂い、そよ風による草同士が触れ合う音。 それらによってゆっくりと意識が覚醒してくる。 目を開けて最初に見たのは、青い空だった。青い絵の具を一面に塗りたくったような、目の覚めるような空の青さは街中で見てきた少しどんよりと霞みがかった空とは明らかに違っていた。 俺は暫く初めてみるこの空の青さに圧倒され生唾を飲み込む。 お陰で自分が今仰向けで倒れている事に気付くのに若干遅れてしまった。 体をゆっくりと起こし、周りの様子を確認する。 眼前に写るのは一面に青々と繁る草原だった。
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