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私はその日、町の真ん中にある小さな学校で、退屈な授業を受けていた。
左手につけている腕時計をちらりと見ると、もうちょっとで二本の針が12を指す頃だった。
隠しもせずに大きな欠伸をしていたら、講師のラル・シトラが目を吊り上げキンキン声で注意してきたので、フルシカトでおまけに大きく伸びもしてやった。
ラルは「んまぁっ!」と平たい顔を更に広げ、私をねめつけたまま、授業を再開した。
他の生徒達はもう既に見慣れた光景にいちいち反応する事も無く、黙々と板書を続けている。
あーぁ、ほんとに退屈……。
早く帰ってエリィにまた秘密結社の事色々訊きたいな……。
心の中で溜め息をつき、私は居眠りする為、机に突っ伏そうとした。
その時、突然教室のドアが勢いよく開けられた。
クラスの全員の注目を集めたそこには、教頭先生が険しい顔で立っていた。
なんだなんだとクラスメイトがざわつく中、私は特に興味を示さず机に突っ伏した。
教頭が来たくらいで皆いちいち騒ぎ過ぎだわ……。
私はふっと溜め息をついた。
寝よ……。
そう思い目を閉じかけた時、教頭の声が「ハンナ・ヨール!」と私の名を呼ぶのが聞こえた。
「ハンナ・ヨール。ちょっと来たまえ」
なんなのよもう、めんどくさいな…。
私は渋々顔を上げ、渋々立ち上がり、教頭のもとへ向かった。
「…何ですか?」
危うく、なんか用?と言いそうになった。
私は教頭が好きじゃない。
まぁ、好きな教師なんて一人もいないけど。
教頭は私の問いには答えず、私の腕を掴み、ぐいと引っ張り「校長室へ」とだけ言うとつかつか歩き出した。
……は?
と言葉にする代わりにちらりと振り返りシトラを見たら、シトラは「なんのこっちゃ」と言いたげな顔で突っ立っていた。
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