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小学校4年生の頃だろうか。俺は不登校になった。原因はいじめ。俺の緑っぽい目について中傷される程度だったが、ダメージが大きく学校に行かなくなった。しかし、親には学校に行っていると思わせる為にランドセルを背負って図書館で暇潰しをしていた。
そんなある日、俺は椎名尚弘という少年に出会った。
彼は放課後に当たる時間、毎日この図書館に来ていた。俺は同い年そうな彼に興味を持った。が、それは彼も同じだったらしく、最初に声をかけたのは彼だった。
「…毎日居るけど本、好きなんですか。」
「俺はただの暇潰し。そっちは。」
「僕もです。」
本が好きという訳じゃない。ただ暇だったし、学校には行かなくとも勉強しなければならないと焦った俺が行き着いたのがたまたま図書館だったのだ。それから何回か話すことはあった。俺は彼に「ナオ」と言うあだ名をつけた。そうすれば彼は嬉しそうに笑うのだった。
ある日のこと。
「安里は外で遊ぶのが嫌なんですか。」
俺は答えに詰まった。外遊びが嫌なんじゃない。どちらかと言うと好きな方だ。ただ、外にいる同級生が嫌なのだ。
「そんな訳じゃないけど…。」
「じゃあ少し付き合ってもらえませんか。」
ナオは公園で遊んだことがないらしく、一度友達と遊んでみたかったそうだ。俺を友達としてくれたことは嬉しいが何となく不安だった。
「うわー!キモい河波が来たぞー!」
「学校サボって遊んでんのかー?うざぁ。」
「おい、あんま言うと呪われっぞ、あの目に。」
「ははは、怖!逃げろー!!!」
俺を見るなり口々に言う同級生。やっぱりと思った。さらに、ナオに俺が不登校でいじめられていることが知られ、ショックだった。恥ずかしかった。だけど、
ナオは言った相手をぶん殴った。それも凄い無表情で。殴り倒される同級生を呆然と見ていた俺。そんな俺に駆け寄ってナオが言った言葉。
「安里の目は綺麗ですよ。僕は好きです。」
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