5722人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
SIDE:涙
相模大和が入って来た時、安里の顔が強ばったのがわかった。
「……。」
無言で教室を見渡す相模。教室全体の温度が下がる。
ヤバいのが来た。
相模は安里がいる位置で視線を止めた。今の安里は髪と目の色が違うはずだが…。
安里が耐えられず視線を下に向けると相模はにやりと笑った。
「髪染めたのか?俺は茶髪が好きだったけどなぁ?」
ばれた。俺の作戦は何の効果もなく砕け散った。不気味な笑みを浮かべたまま奴は俺の方、つまり安里の方へと近づいた。
どうする、どうする俺。
「あんた、安里に何か用?」
考える前に言葉が先に出た。相模の殺気がこもった目に冷や汗が垂れる。
「…何だてめぇ。」
「安里、恐がってんだけど。」
俺が言うと安里の肩はびくっとはね上がった。
「んなわけねぇよ。安里、俺と一緒に遊ぼうぜ、昔みたいによぉ。」
相模は俺を睨んだ後、楽しそうに安里に手を伸ばした。
考えるより先に俺は相模の腕を掴んでしまった。
心臓が止まるかと思った。
最初のコメントを投稿しよう!