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ズザァァァァァァア!!!
俺が相模の腕を掴んだ途端に相模は俺を乱暴に振り払った。
相模の力は予想以上に強く、俺の体は思いっきり後ろに倒れた。
「る、涙…!」
安里が泣きそうな顔で言った。
「おい!お前涙に何してんだよ!!!謝れ!」
すると暁月が空気も読まずに叫んだ。こいつ馬鹿…。
「はぁ?こいつが先に手ぇ出してきたんだろ?謝るならこいつだろ?」
「おかしいだろそんなの!!!」
声の大きい暁月に相模は鬱陶しそうな表情をする。ついに相模は騒ぐ暁月を無視して安里に話しかけた。
「どうでもいいけどなぁ、俺は安里に話があんだよ。来るよなぁ?」
安里はほとんど半泣きでこくりと頷いた。
待てよ、待てよ安里。何でそんな怯えてんだよ。こいつは安里の何なんだよ。
倒れた衝撃による痛みがまだ続く。腰が痛い。背骨が痛い。
痛い、けど。
「…安里…。」
俺の呼び掛けに安里は振り返るが悲しそうな顔をして相模に着いていった。
「安里!」
暁月の声に振り向きもせずに安里は教室を出て行った。
何で俺はあんなに辛そうなあいつに何も出来ないんだよ…!
何で…。
好きなのに…。
SIDE END
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