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俺が大和君に連れられた場所は、大和君の寮部屋だった。大和君は部屋のソファーに座るが俺はリビングの端でただ立っていた。
「なぁ。」
大和君が声を出しただけで肩が跳ねた。そんな俺を見ても大和君はそのまま話を続けた。
「何で俺から逃げた?」
「ッ!」
大和君は小学校の同級生で、所謂いじめっ子だったんだ。いじめられていたのは、俺。
でも他のいじめっ子とは違った。いじめられていた、というのもちょっと違う気もする。大和君は何でも自分のものにしたがっていたから、最初に少し抵抗した俺に酷く執着していただけだったんだ。
「安里、聞いてんのかよ。」
そんな大和君が何故かまた目の前にいる。大和君が怖くて逃げ出したのは俺。
「ごめんなさい、」
「違う。理由。」
理由なんて俺の口から言えないことくらいわかってるのに。
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