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大和君と出会ってから半年くらいで俺は大和君の前から姿を消した。
きっかけは下校中に起きた事件。
いつものように大和君に自慢話を聞かされながら帰っていた。
「俺は運動神経良いからよ、いくら鈍臭いお前が頑張っても俺には勝てねぇな。」
「うん…大和君には適わないよ…。」
機嫌を損ねないように言葉を選んで言う。言葉を間違えると、大和君はすぐに手が出るから。その日はいつもより機嫌が良かった。
「ま、わかればいいってこと。」
ここまではいつも通り。あともう少しで大和君と別れるところだった。そんな時に、
「子供に手を出すのは趣味じゃないんだがなぁ。あんたの親父が悪いんだ、しょうがない。」
曲がり角付近でそう言いながら現れた黒いスーツを着た男の人。後ろにも何人か同じような人がいた。
俺はこの人達が何者なのかわからなかったが、大和君はその人達を睨み付けていた。
「…何、父さんに勝つ為に俺を使うつもりか。」
大和君は強気な態度だったけど、怖気づいているのはすぐにわかった。
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