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嬉しかった。ただ嬉しかった。目を褒めてもらえたのは家族以外で初めてだった。その日から俺はナオに懐くようになった。
「何でいんのー?ナオー!」
「僕は風紀副委員長なんですよ。」
「あはは、ナオー!」
「はい、安里。」
相変わらず優しいナオに涙ぐむ。中学から全寮制の学校に入るからお別れしたのだがそれが月乃代だったとは。偶然とは素晴らしいものだ。
「だから!!!お前誰だって聞いてんの!」
暁月君が怒ったように言ったので、ナオは渋々自己紹介をする。
「僕は椎名尚弘です。」
「尚弘か!俺は暁月雪!雪って呼んでくれよな!」
そう言って暁月君はナオの手を握る。それから、ナオが本題に入った。
「…で、この部屋はどうしたんですか。」
俺は今日相原先生に無理矢理理事長室に連れて行かれたことを話し、問い詰められたので引きこもりの原因、どんな生活をしているかについても話した。
「安里ちゃんは廃人さんなんだねー…。」
「安里!引きこもりはいけないんだぞ!!!空夜は悪くない!」
「相原先生も安里も悪いですよ。何でゲームで…。しかも生活も乱れ過ぎです。」
海斗先輩は引きつった笑顔で言い、暁月君は何故か俺を責める。ナオに至っては説教を始める始末だ。引きこもりの何がいけないのだろうか。廃人上等だ。
「あ、そういえば狩りの約束してた。ちょっとビーハンやってく」
「いけません。」
俺が立ち上がればナオは黒い笑顔で俺の手を掴む。俺は口を尖らせて文句を言った。
「えぇー、何でー?俺の生活の8割がビーハンって言ったでしよ。」
「それがいけないと言っているのです!」
「えぇー、何で?」
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