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「寒っ、んだこの部屋は。」
そう言いながら部屋に入って来たのは体つきのいい男。黒髪をオールバックにし、いくらか耳にピアスをしていて、着ているシャツもはだけさせ、胸元を見せている。ホストのような男だった。多分こいつがドアを壊したのだろう。怪力かこいつは。その男は俺を見つけると少し驚いてからゆっくり近寄って来た。
「おい、お前が河波安里であってるか?」
近くで立ち止まり、そう聞かれたので俺はゆっくり頷いた。すると男は俺の腕を掴み無理矢理立たせて歩きだした。
「え!?な、何!?」
「うるせぇ。黙ってついてこい。」
「はぁ!?」
自己中過ぎるだろ。何で見ず知らずの人に黙ってついて行かなきゃいけないんだ。
「嫌だ!離せ!俺は狩りに行かなきゃいけないんだ!!!」
「うるせぇつってんだろ。」
俺の反抗も虚しく男は力ずくで俺を引っ張り外へ出そうとする。が、俺は玄関のドアノブを掴み抵抗する。男はため息をついて呆れた声で言う。
「大人しくしろよ。あんま逆らってると痛い目みるぞ。」
こいつはもしかしてホストじゃなくてヤのつく自由業の人かもしれない。もしかして俺は何処かに連れてかれてこ、殺されるかもしれない…。そう思った俺は力一杯抵抗する。
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