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ある日の会長___
「采明、そろそろ変えようと思う」
夕陽が差し込むなか
書類を眺めながら采明に問いかける
「なにをですか?」
「カラコン」
「……めんどくさいですね」
「あーん?」
采明のやつ俺様が真剣に悩んでるって言うのに
なんだその態度は
無表情で書類に目を通しやがって
なに様なんだよ
「まさか龍騎に何様呼ばわりされるとは思いませんでした」
「っ!?お前は勝手に心のなか読むんじゃねぇ!!」
「読みやすいあなたがいけないんですよ」
「んだと!?」
ガタリと音を立てて立ち上がる俺様
机から舞い落ちるプリント類
相変わらずのポーカーフェイスでこっちを見上げる采明
こいつは俺様の方が上の人間だとわかってるんだろうか
毎回、毎回俺様が頭にくるような言い回しかたしやがって
………なるほど
采明のやつ俺様に気があるんだな
「止めてください気持ち悪い」
「だからてめぇは!!」
「別に龍騎がカラコンを変えようと私には関係ありません」
「相談くらいのれよ」
「却下です、めんどくさいので」
「…いい加減にしろよ!?俺様を誰だと思っていやがる!!」
「バ会長でしょう?」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ!」
「小学生ですか貴方は」
あー言えばこー言う!!
むしゃくしゃするが
こいつに口で勝とうと思うのが間違いだったな
行き場のない拳を降ろして
ソファーに座り込む
俺はイライラするのをなんとか抑え込もうと
息を吐き出しながら前髪をかきあげる
落ち着け
元々、采明に相談した俺が馬鹿だったんだ
そう思いながら采明の方を見ると
ふと目が合った
「んだよ」
「いえ…、私は変えなくてもいいと思いますよ」
「は?」
「貴方のカラコンの事です、龍騎は赤色が一番似合ってますよ」
「…ククッ、そーかよ」
「えぇ」
「なら変えないどくか」
「勘違いしないでくださいね、私はただ赤以外のカラコンをした龍騎が気持ち悪いと思っただけですから」
「てめぇは一言多いんだよ」
まぁ、腹立つ野郎だけど
こう言うときに見せるこいつの優しい笑みは嫌いじゃねぇ
もっと素直ならまだ可愛げがあるんだがな…
よし、もう一頑張りするか
____end___
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