其の一

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神さまは不公平だと思う。 容姿のいいやつ、悪いやつ。 背の高いやつ、低いやつ。 育ちのいいやつ、悪いやつ。 前者は確実にモテるわけで 入学して一週間も経つと、その差は歴然と見えてくる。 分厚いメガネをかけた僕は、確実にダサい方で 誰の目に留まる事も無く、地味に高校生活をスタートさせていた。 授業を終え、校門までの並木道をゆっくりと歩いた。 校庭では、サッカー部がボールを追いかける。 二列に並んだ女子のテニス部が、かけ声を掛けながら僕を追い抜いてゆく。 短いスカートから伸びた太腿に、ドキリとした僕は変態だろうか。 ふと、 校庭の隅に目がいった。 陸上部の女子が数人、ランニングに短パン姿でスタートラインに立っている。 春とはいえまだ4月。 「寒くないのかな…」
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