ささやかな願い

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ある昼下がりの男子寮。 「おいリーオ。」 今日は授業が昼までしかなく、早めの帰宅に大半の生徒が浮かれた気分になるはず。 だがそれに反し、明らかにいらついた声音で自身の従者に声をかける四大公爵ナイトレイ家嫡子―エリオット・ナイトレイ。 対する従者―リーオは本を読みながら、顔も上げず曖昧に「んー」と返事をする。 こんな返事はエリオットとリーオの関係であるからこそ有り得るのであって、もはや従者の返事とは言いがたいが、それはおいといて。 「レンが最近オレを避けてる気がするんだが。」 エリオットも慣れているせいかその返事には触れず、話の重要な主題を吐き出す。 「へぇーそうなの?」 少なからずクラスメートのレン・ブラックストーンに惚れているエリオットの言葉に、ほほえましそうに笑いながらも本からは目を離さないリーオ。 その微妙な返答にエリオットが身を乗り出して再度問う。 「いや、そうなの、じゃなくて。そう思わねえか?」 彼にとってはそんなことも一大事なのか、どこか必死で言うエリオットに、リーオはまだまだ顔を上げずに答える。 「うん、そうだね…………あれ、リリファーやばいんじゃないかな…」 だがしかし本の誘惑には勝てず、もはやエリオットの話を聞いているのかさえ疑問だ。 .
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