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そのせいもあるのか、寮母にはどこかしら勘違いをされている節もあるのだが。
まあそれは素直じゃないエリオットが主張しているのであって、ただ寮母が恋愛方面に対して勘がいい、ということに限るのだろう。
と、そんなこんなで二人は女子寮へ向かい、リーオが寮母に声をかける。
「あら、リーオ様にエリオット様。レンのところへ?」
「はい。いいですか?」
リーオが顔を覗かせると、寮母が人懐っこい笑みを浮かべてわかりきったように言葉を紡ぐ。
「どうぞー。あ、でもエリオット様、レンが可愛いからといって襲わないでね。」
ふふふ、と口元に手を当てて笑う寮母。
そんな彼女に何かしら言わんとしたエリオットを、リーオが遮って彼女に礼を言い、主を連行する。
「こら、エリオット、いきなり怒鳴ろうとしないの。」
はあ、とため息をついて、エリオットをたしなめるように言うリーオ。
「……あの寮母勘違いしすぎだろ…」
「あはは、まんざらでもないくせにー」
不機嫌そうに自身の従者から顔を背けるエリオットに、リーオがけらけらと楽しそうに笑う。
やはりいつまで経っても主より従者のほうが一歩上をいっているようだ。
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