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なんとなく狙った会話に、リーオでさえ気分が悪くなってくる。
いつエリオットがキレるか…
そうハラハラしていたが、エリオットがとった行動はいつもの彼らしからぬものだった。
「あ……エリ」
「失礼する。」
そう短く言い放ち、彼女らを軽蔑するように見下ろしながら、すっと脇を通ってその場を離れるエリオット。
その瞳に怯えたのか令嬢らは口をつぐんだ。
「(エリオットも成長したな…)」
そんなことを思い、ふっと笑みを浮かべながら主のあとを追うリーオ。
そして突然のことに立ち尽くしたままの令嬢らに、すれ違い様にこう呟いてみせた。
「貴女方にはレンを越すことは不可能ですよ。」
…途端、令嬢たちが唇を噛み締めたのを横目に見ながら、リーオはエリオットのあとを追いかけた。
*―*―*―*―*
「ちょっと待って、エリオット!」
たたた、と主のあとを追いかけるリーオ。
呼ばれたエリオットは立ち止まって彼を振り返った。
「ん、ああ、リーオ。」
「レンどこに行ったんだろう?」
「とりあえずいそうなところ探すか。」
「そうだね。」
「はーい!レイラちゃんも大賛成!」
……………。
エリオットの静かな沈黙。
少しだけ風が吹き抜けた。
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